価格下落なのにステーブルコインの取引量が増加。資金はどこへ向かっているのか?

価格下落なのにステーブルコインの取引量が増加。資金はどこへ向かっているのか?

Sigrid Voss
Sigrid Voss ·

価格下落なのにステーブルコインの取引量が増加。資金はどこへ向かっているのか?

ここ24時間ずっとチャートを眺めていたけれど、どうも腑に落ちない点がある。普通、時価総額が下がり、フィア&グリード指数が39まで落ち込めば、人々はパニックになってエコシステムから完全に逃げ出すものだ。でも、データが示すのは別の物語だった。全体の時価総額は下がっているのに、ステーブルコインの取引量は約17%も急増している。

私から見れば、これは決定的なサインだ。みんな市場を去ったわけじゃない。ただ、チップをサイドラインに移動させただけだ。暴落局面でどのステーブルコインを持つべきか迷っているなら、それは実質的に「押し目買い」のための待機資金、いわゆるドライパウダーを探しているということになる。

実際には何が起きているのか

数字は正直だ。時価総額は2.54兆ドルまで滑り落ち、完全に「恐怖(Fear)」の領域に入っている。けれど、取引量を見てほしい。24時間取引量は22%以上増加し、特にステーブルコインの活動は1,820億ドルを超えた。

私の経験から言うと、これは典型的なローテーションだ。トレーダーはボラティリティの高い資産(アルトコインや、場合によってはビットコイン)を売り、それをステーブルコインに替えている。銀行口座に現金として戻しているのではなく、仮想通貨のエコシステム内に留まっているのがポイントだ。

これは「縮まったバネ」のような状態を作る。価格下落時にこれほどの流動性がステーブルコインに溜まっているということは、多くのトレーダーが特定の価格底を待ち構えて、再び飛び込む準備をしていることを意味する。

なぜこれが底打ちのシグナルになるのか

価格が下がる中でステーブルコインの取引量が増えるとき、私はそれを「暴落」ではなく「準備期間」だと捉える。火災のような投げ売りではなく、戦略的な撤退という違いだ。

今の状況は、アルトコイン・シーズン指数がわずか38/100という「ビットコイン・シーズン」だ。つまり、資金は単にステーブルコインに流れているだけでなく、まずリスクの高い小型コインから抜けている。いわゆる「スマートマネー」が資産を整理し、恐怖がピークに達して割安に買い戻せる瞬間を待っている。

あと、ETHのガス代が0.26から0.36 Gweiの間で非常に低くなっていることにも注目している。オンチェーンの活動が静かだということだ。パニックによる脱出劇はなく、ただ静かに流動性へと移行している。

流動性の管理について

底を待ってステーブルコインを積み上げているなら、その資産をどこに置くかを真剣に考えるべきだ。取引所に全部置いておくのが一番簡単だが、同時に一番のリスクでもある。2019年から多くの取引所の崩壊を見てきた私にとって、「カストディリスク(保管リスク)」は現実的な脅威だ。特に日本のユーザーは規制への意識が高いと思うが、資産の自己管理は基本中の基本だ。

もしUSDTやUSDCを長期的に、あるいはまとまった額で保持するなら、セルフカストディへの移行を勧める。私なら Ledger Nano Gen5 を使う。約99ドルで、タッチスクリーン付きのハードウェアウォレットが手に入る。古いボタン式モデルより格段に使いやすいし、取引所が不調な日に「押し目買い資金」が消えてしまうリスクをなくすシンプルな方法だ。

次に注目すること

まだ底打ちを断言はしないけれど、2つのポイントを注視している。一つは、ステーブルコインの取引量が上がり続けるか、あるいは横ばいになるか。価格が低いままで取引量が落ち始めたなら、それは待機資金が消費され、実際に買い圧力として市場に投入され始めたことを意味する。

もう一つは、59.90%付近にあるBTCドミナンスだ。ステーブルコインの取引量減少と同時にドミナンスが急上昇すれば、資金がステーブルコインからビットコインへと回帰している証拠になる。

今のところ、市場はただ呼吸を整えているだけだ。恐怖は本物だが、流動性はそこにある。金は建物から出ていったわけじゃない。ただロビーで待っているだけだ。


Related Tickers


Sigrid Voss

Sigrid Voss

暗号通貨アナリスト兼ライター。市場動向、取引戦略、ブロックチェーン技術を取り上げています。,,。


関連記事をもっと見る

北朝鮮が60億ドルを盗んだ理由。初心者が知るべき「安全なDeFiプロトコルの選び方」

北朝鮮による巧妙な仮想通貨窃盗は、盗まれた資産の76%を支配するまでに至っています。この問題が浮き彫りにしたのは、DeFiの致命的な弱点である「管理キー」の漏洩です。コードのバグだけでなく、管理体制の不備がリスクとなります。スピードを優先し…

Sigrid Voss·
Binanceの新規上場銘柄が市場をアウトパフォームしている。狙い目の戦略を解説

Binanceの新規上場銘柄が市場をアウトパフォームしている。狙い目の戦略を解説

ビットコインのドミナンスが高まり「ビットコイン・シーズン」が続く中、Binanceの新規上場銘柄だけが市場トレンドに逆行して上昇しています。個人投資家の流動性に支えられたこの現象をどう捉え、リスクを抑えながら利益を狙うか。具体的な戦略を考え…

Sigrid Voss·

Visaのステーブルコイン利用急増と市場のパニック。この乖離はなぜ起きるのか?

Visaのステーブルコイン決済額が年率70億ドルペースで急増しており、個人投資家のパニックとは対照的な動きを見せています。リテール層が恐怖に支配される一方で、機関投資家は効率的な決済手段として静かにステーブルコインを活用しており、投機ではな…

Sigrid Voss·
アレックス・マシンスキーに仮想通貨業界からの永久追放処分。これが本当に意味すること

アレックス・マシンスキーに仮想通貨業界からの永久追放処分。これが本当に意味すること

アレックス・マシンスキー氏への永久追放処分は、規制当局による取り締まりの大きな転換点を示しています。顧客資金を不適切に扱った中央集権的な創業者が法的な責任を問われる前例となり、今後の業界監視に深刻な問いを投げかけています。チェックなしに帝国…

Sigrid Voss·