価格は上がっているが出来高は死んでいる。私がまだ「押し目買い」をしない理由

Sigrid Voss
Sigrid Voss ·

価格は上がっているが出来高は死んでいる。私がまだ「押し目買い」をしない理由

ここ数時間チャートを凝視しているけれど、どうも違和感がある。表面上の数字だけを見れば、悪くないように見える。時価総額は2.69%上昇して2.15兆ドルに近づいているし、ビットコインや主要アルトコインの価格をパッと見れば、「ようやく底を打った」と思うかもしれない。でも、データの中には、最悪の目覚まし時計が鳴る前に必ず現れる大きなレッドフラッグが隠れている。そう、出来高が完全に崩壊していることだ。背景を詳しく知りたい人は、以前書いたステーブルコインの出来高トレンドの記事を読んでみてほしい。

「仮想通貨の出来高ダイバージェンス」とは何か、疑問に思う人もいるだろう。簡単に言えば、資産の価格が動く方向と、取引活動の量(出来高)が動く方向が逆行することだ。今の状況は、価格はじわじわ上がっているのに、現物取引高は49.20%減、デリバティブ取引高は47.78%も激減している。私から見れば、これは回復じゃない。ただのゴーストタウンだ。

なぜこのダイバージェンスが警告サインになるのか

市場が本当に回復するときは、「アグレッシブな買い」が見えるはずだ。つまり、価格上昇に伴って出来高も増える。それが、トレーダーが確信を持って、価格を押し上げるために本気で資金をリスクにさらしている証拠になるからだ。

でも、今はその逆が起きている。価格は上がっているのに、誰も実際には取引していない。これは、買い手が急増したのではなく、単に「売り手が不在」であるために価格が押し上げられているだけだと考えられる。極めて流動性の低い環境だ。こうして出来高が消えると、市場は信じられないほど脆くなる。クジラが一度大きな売り注文を出しただけで、それを吸収できる買い手がいないため、価格は一気に暴落する。

こういうパターンは前にも見たことがある。少し前に流動性トラップの危険性について書いたが、今回の状況はさらに危ういと感じる。出来高が50%も落ち込み、Fear and Greed Index(恐怖と強欲指数)が15まで下がっているとき、それは「買いどきの押し目」ではなく、市場が極度の恐怖で麻痺している状態だ。

「ブルトラップ」の心理学

トレードに入るタイミングで最も危険なのは、チャートがわずかに緑色に見え始めても、市場心理がまだ「放射能レベル」に汚染されているときだ。個人トレーダーは2%や3%の反発を見ただけで、「底を打った」と思い込みがちだ。そして飛びつき買いをする。それが結果的に、残りの「スマートマネー」が少しでも良い価格でポジションを抜けるための十分な流動性を提供することになる。

オンチェーン活動もチェックしている。イーサリアムのガス代は0.08から0.11 Gweiの間で推移している。これは異常に低い。人々が資産を動かさず、DEXでスワップせず、DeFiプロトコルともやり取りしていないことを意味している。仮想通貨経済の「エンジン」が、ほぼアイドリング状態で止まっているようなものだ。

さらにマクロ環境も厳しい。S&P 500は2.58%下落し、NASDAQは4.80%も叩かれている。仮想通貨が完全に独立して動くことは滅多にない。伝統的なテック市場がここまで出血しているなかで、機関投資家の買い支えや出来高の裏付けもないまま、仮想通貨だけが突然持続的な強気相場に入るなんて、私は信じられない。

私はどう動くか

長期保有している分を売るつもりはないけれど、今このタイミングで買い増すつもりも全くない。買い手が本当に戻ってきたことを証明する「出来高のクライマックス(取引活動の爆発的な急増)」を待つ。それまでは、これをブルトラップとして扱う。

このボラティリティに耐えてホールドしている人は、資産を取引所から出しておくのが最善の策だと思う。暴落時に突然出金が凍結されて、すべてを失う人を私はたくさん見てきた。私はLedger Nano Xを使っている。Bluetooth搭載なので、秘密鍵をオフラインに保ったままスマホでポートフォリオを管理できるのが便利だ。自分のコインを本当に自分で所有しているという安心感を得るための、安い投資だと思う。

次に注目すること

私は2つのポイントを注視している。まず、Fear and Greed Indexが30か40まで戻るかどうか。15から30への上昇が見えれば、極端なパニックが収まりつつあると言える。

次に、デリバティブの出来高だ。パーペチュアル(無期限先物)の建玉が3659.9億ドルあるなかで、システム内にはまだ大量のレバレッジが残っている。もしここから急落すれば、現物出来高の少なさが仇となり、強気派が主張する「サポートライン」をなぎ倒す連鎖的な清算が発生する可能性がある。

懐疑心を忘れず、出来高に目を向け続けてほしい。価格は「餌」に過ぎない。真実は常に出来高にある。

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暗号通貨アナリスト兼ライター。市場動向、取引戦略、ブロックチェーン技術を取り上げています。,,。


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